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KONO's Diary-休むに似たり



2009-02-13 [長年日記]

_ [イベント] RTCカンファレンス vol.29「不況撃滅」

イベント告知

テーマは「不況撃滅」だけど内容はGREE田中社長の語り。

GREEって日本のSNSの会社なのだけど、「日本のSNSってmixiが圧倒的な存在で、それ以外は厳しいんじゃないの?」と思った人は認識が足りません。同社の2009年6月期第2四半期決算情報(PDF)によると、今年六月の決算では112億円の売上高で営業利益65億円を見込んでいる(ともに前四半期から上方修正)。営業利益率58%。

創業4年にして株式公開した、弱冠31歳の青年社長である。その語り口がアツくないわけがない……ということで、以下、順不同で発言メモ。

* Netscape等アメリカのインターネットベンチャーの幹部クラスが20代から30代前半で、みんな目をキラキラと輝かせて仕事をしているのを見て、ベンチャーに憧れた。日本の大企業では20代30代は「下積み」で、本格的な仕事をするのは50代とかになってから、という印象で、そんなに待てない、と思った。

*創業間もない楽天に飛び込んで、楽天広場というブログサービスの開発・立ち上げを手がけた。SNSをやってみようと思ったとき、担当していた楽天広場はまだ赤字だったし、あまり会社(楽天)に迷惑はかけられないと思ってSNSは趣味で始めた。それで開発したのがGREE。

*趣味で始めたGREEは、すぐに月々のサーバ料金が3万円くらいになった。当時家賃が73,000円の部屋に住んでいて、自分でもこれはちょっとまずいんじゃないかと思ったが、多くの会員が使ってくれていたのでやめるにやめられなくなっていた。

*会社組織にしようと思ったのは2004年の中ごろ(会社設立は2004年12月)。ボランティアでは続かないと思ったので。いいサービスを作るためには、いい会社が必要だと考えた。

*(最初は会員数が日本一だったがその後mixiに抜かれた時のことを聞かれて)当時イー・マーキュリー(現在の株式会社ミクシィ)は会社設立後8年経っていて、一方のGREEはまだ丸一年も経っていなかった。0歳の子どもに8歳の子と同じように歩けと行ってもムリ。

*会社の成長には戦略的に起こす連続的イノベーションとは別の、想い・情熱・偶然で起こる非連続的イノベーションが必要。非連続的イノベーションは、後からの理屈づけは何とでもなるが、再現性はない。

*ケータイに特化したのは、NINTENDO DSの影響。

*アメリカのSNSではアバタービジネスなどない。ベンチマーク思考だけでは行き着けないものがイノベーション。

*(モバゲータウンとの差別化要因を聞かれて)他の会社のことなんか見ていない。SNSサービスを作ったとき、何かと比較して作ったわけじゃないし。

*今から5年後はどういうサービスが必要とされているか、それを一生懸命考えた上でそのサービスの実現を目指している。

*どうやって未来を見るか、は、どう変わってきたか、から想像する。電子メールがなかった頃のこと、自分でもすっかり忘れつつあるけど、メールがもたらした「リテラシーの変化」のようなものが、今後どのように起こっていくかが大事。

*モバイルがどんどん良くなっていて、ある日「(PCではなく)モバイルで十分」と思った。たとえばDSマリオカート。PS3でやる必要ないと思った。また、「パソコンは寝転がってできない」「パソコンは起動するまで時間がかかる」「パソコンはボタンがたくさんある」などの意見も聞いた。

*(スマートフォンについて聞かれて)ロングスパンでは日本でもスマートフォンが来ると思うが、iモードで始まった日本のケータイインターネット文化は当面はもうちょっと続くのではないかと思っている。

*社長業について。25歳頃までに各種ネットサービスの開発・立ち上げは散々経験したので、これからは人を育てることにする。

*(今困っていることを聞かれて)実は臆病で、毎日悩んでいる。「エヴァンゲリオン」の碇シンジに共感する。

*社員に生き生きと働いてもらうために会社が成長を続けなければと思っているが、それが難しい。

*いい人を集める、いい会社にしたい。いいサービスをするためには、いい会社が必要。

*楽しみで始めたGREEだが、社長になって、あんまり楽しくない。けれども充実している。使命感がある。

*経営戦略とかいって「パワーポイント遊び」をするのはやめてほしい。会社は人間はやっている。

*当面は日本でのみ事業をする。ベンチャーの経営者に、すぐ「世界一になる」と言う人がいるが本当にそう思っているのか。身近なところを一つ一つやっていく必要がある。

*(現在は会社でどんなことをしているかを聞かれて)社長の仕事って何だかわからない。会議に出たり、いろいろ考えているけど。会社の利益が六倍になったというが、自分は六倍成長しているのかと自問している。

*(技術者に対する評価、社員の採用基準について)企画書から革新的なサービスは生まれない。実際に作って、使う人をフォローするエンジニアが大事。エンジニアは技術力よりも、一緒に働きたいと思えるマインド・メンタリティが大事。会社は山あり谷ありなので、谷のときに信じられる仲間と働きたい。

*どうあるべきかを模索して、自分が変わっていくことが大事。自分が変わらないと何も変わらない。

*不況のときこそイノベーションが起こり、新しい時代が始まる。景気の良いときはちょっとヘンでもそのままになっていたことが、不況のときには修正されていく。不況にはそういうリセットの効果がある。

…ということで、最後にきて「不況撃滅」に結びついて、きれいにまとまった。

田中社長はもっとギラギラした人なのかと思っていたけど、適度に力の抜けたところがあって、でも心は熱い、みたいな、とても良い人でした。自分の成功は偶然、みたいなおっしゃり方もされていたが、同じ偶然が別の人のところに来てもきっとこれだけの成功にはならなかったでしょう。「いい会社にしたい」っていうのを繰り返し強調されていたし。

司会のお二人も、15ヶ月ぶりというブランクを感じさせない、見事な仕切りでした。大変楽しくかつ有意義なひと時をどうもありがとうございました。

しばらく中断していたRTCカンファレンスは来月以降も開催される模様。次回もできるだけ参加したい。

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_ 近江商人JINBLOG:RTC Vol.29 『不況撃滅』−グリー田中良和社長 後録 (2009-02-16 02:11)

昨日開催のRTCカンファレンス Vol.29 『不況撃滅』 -グリー田中良和社長...




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カバー画像はWikimedia Commonsより。
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