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KONO's Diary-休むに似たり



2007-10-20 [長年日記]

_ [] ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ

出版されて時間が経ってしまったが、やっと読了。

ソフトウェアの世界では、ここ十年くらいの間に「オープンソース」のメカニズム--ソフトウェアのソースを一般に公開し、第三者を含む多くの人々で知恵を出し合い、協力して改良していき、成果を共有する仕組み--が持つパワーが一般にも認知された。本書では、同様のメカニズムがソフトウェア以外の分野でも有効に働いている、と主張し、その仕組みを「ウィキノミクス(Wikinomics)」と名づけている。「ウィキ(wiki)」とはみんなでWeb上の文書をよってたかって編集できるソフトウェアで、これとEconomicsを合成した言葉。

カナダの金鉱会社、ゴールドコープは、自社の鉱山から金を発見できず、倒産寸前の状態に追い込まれていた。たまたま社長がlinuxの開発メカニズムを知り、同様の仕組みを自社に適用することを思いつく。具体的には、自社の鉱山の地質データ(一般に金鉱会社にとっては「秘中の秘」とされる機密情報)を公開し、金鉱脈がどこにあるか探す方法を、賞金つきで公募したのである。試みは成功し、ゴールドコープはたちまち優良企業として復活する……このエピソードを皮切りに、本書では「ウィキノミクス」についての論点を、豊富な実例とセットにしてつまびらかにしていく。

普段ネットの動向に注意しているような人であれば全体的にはそんなに目新しい論点はないかもしれないが、実例があるとやはり説得力が違ってくるし、さすがに広く目配りされているからよく知っている話のつもりでもどこかに新しい発見がある。ぼくの場合は、第8章「世界工場」で、BMWやボーイングが、サプライヤーとの関係を単なるアウトソーシングではない「コラボレーション」型にして成果を上げている話や、第9章「ウィキワークプレイス」のギークスクワッド(アメリカ家電量販店ベストバイの修理サポート部門らしい)での働き方、管理方法が実に興味深かった。

いわゆる「スーツ」の人々には是非読んでいただきたいのだが……。

あと、今回読んだのは実は図書館で借りた本なので「帯」がついてなかったのだけど、ここの情報によるとオビには以下のようなことが書いてあったらしい。なかなか含蓄深いものがある。

  1. 負け組はウェブサイトを立ち上げた。勝ち組は活気に見ちたコミュニティを立ち上げた。
  2. 負け組は壁で囲った庭園を作った。勝ち組はだれでも来られる広場を作った。
  3. 負け組は自分たちだけで革新を進めようとした。勝ち組はユーザーと一緒に革新を行おうとした。
  4. 負け組はデータとソフトウェアを守ろうとした。勝ち組はそれを公開した。
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カバー画像はWikimedia Commonsより。
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