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KONO's Diary-休むに似たり



2007-10-12 [長年日記]

_ [] アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

ソフトウェア開発の「レトロスペクティブ(ふりかえり≒反省会)」を行なうためのノウハウを集めた本。

開発プロジェクトは、通常何人かのチームで行なう。一連の活動の中ではさまざまなイベントが発生し、チームメンバーはそれぞれの立場でいろいろなことを感じ取り、学習する。その、「感じたこと、学習したこと」を持ち寄ってミーティングを行ない、次回以降のプロジェクトに生かすための知見を得る必要がある(さもないと次回も同じ失敗を繰り返したりする)。

今「次回以降のプロジェクト」と書いたが、最近のソフトウェア開発プロジェクトでは何ヶ月にもわたる長期の計画は、まず途中で変更が入ると思って間違いないし、そもそも「ゴール」を明確に設定できないままプロジェクトが走り出すなんてこともよくある。そういう環境に対応するため、近年は「アジャイル」と呼ばれる開発手法が提案されていて、効果を上げている。アジャイル開発ではタイムボックスを適用しながら反復型・進化型の開発作業を行なうので、「ふりかえり」はそのタイムボックス単位で実施することになる。

この「ふりかえり」のミーティングが実は意外と難しい。参加メンバーはそれぞれ思うところがあるはずなのにうまく意見を出せなかったり、あるいは特定のトピックで盛り上がって長時間を使ってしまったり。同じチームで何度か「ふりかえり」をすると、いつも同じ結論になって、どうも進歩が感じられないことも多い。

そういうとき、この本に紹介されているアイデアを試してみる価値があるかもしれない。

本の構成は、前半三章が「ふりかえり」活動についての総論で、四章以降が「ふりかえり」に役立つアクティビティ(会議の参加者にアイデアを出させるための手法)についてのカタログになっている。プログラミング言語の入門本でよくある構成--前半三章くらいが概要とチュートリアルで四章以降が機能別のリファレンス--に、ちょっと似ている。

で、本の内容は、大変有益だと思うのだけど、自分が関わっている開発チームでこの本の内容をどうやって取り込んで行くかというのは、実はまだちょっと考え中なのである。メンバー全員がこの本読んで「面白そうだからちょっと試してみよう」と合意できればカンタンなのだけど。

あと、この本で紹介されているミーティングの手法では、あまりコンピュータを使わない。「付録A」に紹介されているミーティングの道具は、マスキングテープ、水性マーカー、付箋紙、インデックスカード、スティックのり、Post-itカバーアップテープ、はさみ、ポケットナイフ、チャイム・ベル・ゴング、カラーコードドット(←赤色・青色などの丸いシール)、タイマー、電卓等々である。議事進行も、「PCの画面をプロジェクターで壁に映してその画面上に打ち込んでいく」のではなく、ホワイトボード等に手書きで書いていく。そこには、「イマドキのコラボレーション・ツール」--Wikiやブログ等- -は見事なまでに出てこない。

いわゆる「アジャイル開発」を実践している人々は、ソフトウェア技術者の中でも特にギーク寄りであることが多いので、このPC利用度の低さはちょっと意外なほどである。個人的には、ここに何か大きなポイントがあるような気がするのだけど、そのポイントについて具体的な言葉を見つけ出せず、ちょっともどかしい思いをしているところである。

日本語訳については、「レトロスペクティブ」や「ファシリテーション」や「アクティビティ」等の用語は日本語にしろよ、みたいな指摘がすでにあちこちでされていて、まあその通りかもしれない。でも訳がヘタで読みにくい、ということは全くないので、よろしいのではないでしょうか。

_ (追記)

サポートページができていたのでメモ。反応リンク集もある。
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